【ナルト】大蛇丸はいいやつ?改心した(丸くなった)理由と最後を解説

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【ナルト】大蛇丸はいいやつ?改心した(丸くなった)理由と最後を解説
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NARUTO』を読んだ方なら、一度はこう思ったことはありませんか?

「あれだけ非道だった大蛇丸は、最後には本当にいいやつになったの?」と。木の葉を恐怖に陥れたあの冷酷な姿からは、想像もつかないほどの大きな変化でした。

物語の終盤、急に性格が丸くなった彼を見て、多くのファンがその改心について語り合いました。

しかし、師を手にかけ、数々の罪を犯した彼が、一体なぜ許されたのでしょうか。

さらにアニメで見せた衝撃的なキャラ崩壊の姿も相まって、「大蛇丸 いいやつ」説の謎は深まるばかりです。

この記事では、そんなあなたの疑問に全てお答えします。大蛇丸の心を変えた決定的な出来事から、彼が最後はいいやつだったと言えるのか、そして続編『BORO』で見せる意外な姿まで、その変遷の全てを徹底的に掘り下げます。

読み終える頃には、あなたの大蛇丸像は、より深く複雑で魅力的なものへと変わっているはずです。

この記事でわかること
  • 大蛇丸が「いいやつ」と言われるようになった具体的な理由
  • 冷酷な悪役から性格が丸くなった心境の変化の過程
  • 数々の罪を犯した大蛇丸が作中で許されている背景
  • 続編『BORUTO』で見せる意外な親としての一面
目次

大蛇丸はいいやつ?非道な過去からの変化を解説

  • 伝説の三忍・大蛇丸の残忍な人物像
  • 木の葉崩しなど非道な行動の数々
  • 大蛇丸が改心したと言われる理由
  • 性格が丸くなったターニングポイント
  • カブトの失敗が心境に与えた影響
  • サスケを見守る保護者のような一面

伝説の三忍・大蛇丸の残忍な人物像

伝説の三忍・大蛇丸の残忍な人物像
引用元:NARUTO OFFICIAL SITE

大蛇丸は、自来也、綱手と共にその名を忍界に轟かせる「伝説の三忍」の一角を占める、傑出した忍です。元々は木の葉隠れの里に所属し、三代目火影・猿飛ヒルゼンの下で修行を積みました。幼少期よりその才能は群を抜いており、ヒルゼンをして「数十年ぶりの逸材」と言わしめるほどで、里の誰もが彼の輝かしい未来を嘱望していました。

しかし、その冷静沈着な仮面の下には、飽くなき野心と常軌を逸した探究心が渦巻いています。「ありとあらゆる全ての術を…そして真理をこの手に入れる」という壮大な目的を掲げ、そのためにはいかなる犠牲も厭わない、冷酷で自己中心的な思想を持つに至ります。この歪んだ探究心は、やがて人の命や倫理を踏みにじる非人道的な実験へと彼を駆り立てました。特に、有限の寿命では全ての術を極められないという結論から「不老不死」の探求に没頭します。

その狂気の果てに生み出されたのが、自身の精神を他者の肉体へと移し替える禁術「不屍転生」です。この術を完成させたことで、彼は実質的な不老不死を手に入れ、永劫の時を術の研究に費やすことを可能にしました。一方で、目的のためなら手段を選ばない冷酷さを持ちながら、薬師カブトや君麻呂といった社会から疎外された者たちを惹きつけ、彼らからカリスマ的な支持を得るという複雑な指導者としての一面も持ち合わせています。彼の存在は、単なる悪では片付けられない多面性を持っているのです。

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項目詳細
忍者登録番号002300
誕生日10月27日
血液型B型
身長172.0cm(第二部)
体重57.3kg(第二部)
性格野心家、残忍、自己中心的
趣味新しい術の開発
好きな言葉破壊、混沌

とんでもない才能の塊やったのに、ちょいと道を間違えはったんやなあ。けど、その真理を知りたいって気持ち、見習うとこあるで!

木の葉崩しなど非道な行動の数々

大蛇丸:木の葉崩しなど非道な行動の数々
引用元:NARUTO OFFICIAL SITE

大蛇丸の残忍で非道な性格は、物語を通して描かれる数々の具体的な行動によって証明されています。彼の悪行は多岐にわたりますが、その中でも特に彼の冷酷さを象徴するのが、周到な計画のもとに実行された「木の葉崩し」です。

この計画のため、彼はまず同盟関係にあった砂隠れの里の長、第四代目風影・羅砂を暗殺。その亡骸を辱めるかのように彼に成りすまし、何食わぬ顔で木の葉の中忍試験に潜入しました。そして計画発動と共に正体を現し、かつての恩師である三代目火影・猿飛ヒルゼンと対峙します。穢土転生で初代・二代目火影を蘇らせて師を追い詰め、最終的にその命を奪うという、恩を仇で返す非道な行いに及びました。

彼の執着は、自身の野望である不老不死の術「不屍転生」を完成させるための「器」にも向けられます。特に、うちは一族の末裔であるうちはサスケが持つ写輪眼に強い興味を示し、その肉体を奪うことを画策。中忍試験の最中にサスケに接触し、力の源となると同時に体を蝕む「天の呪印」を刻み込み、彼を甘言で里抜けへと誘い、闇の道へと引きずり込んだのです。

さらに、彼の探究心は多くの犠牲者を生み出しました。禁術やクローン技術の研究のため、各地から無辜の人々、時には子供までも拉致し、非人道的な人体実験を繰り返していたことは彼の罪の中でも特に重いものです。初代火影・千手柱間の細胞を移植する実験では、60人の子供のうち、ヤマト(テンゾウ)を除く59人が命を落としました。音の五人衆や香燐、君麻呂など、彼の配下の多くが実験体や、彼の歪んだ思想の産物でした。これらの行動は、大蛇丸の探究心が倫理観を完全に麻痺させていたことを如実に物語っています。

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時期主な出来事と非道な行い
木の葉時代里の忍を対象とした非人道的な人体実験と禁術の研究を開始。
里抜け後暗躍組織「暁」に所属。うちはイタチの肉体を狙うが返り討ちに遭い離脱。
音隠れ創設後自身の隠れ里を拠点に、さらなる人体実験と戦力増強に励む。
中忍試験編第四代目風影を暗殺して成りすまし、うちはサスケに天の呪印を刻む。
木の葉崩し計画を実行し、穢土転生を用いて師である三代目火影・猿飛ヒルゼンを殺害。
第二部サスケを器にするため育成するが、成長したサスケに逆襲され魂を吸収される。

やったことはホンマにえぐいことばっかりやけど、それだけ追い詰められてたんかもしれへんな。なんやかんやで深いで、この話は。

大蛇丸が改心したと言われる理由

物語の終盤、第四次忍界大戦の最中にサスケの手によって復活を遂げた大蛇丸は、それまでの冷酷で残忍な姿が嘘であったかのように、驚くほど穏やかな言動を見せるようになります。この劇的な変化こそ、彼が改心した、あるいは「いいやつになった」と評される最大の理由です。

この変化の核心は、彼の行動原理が「自らが歴史の歯車を回す」という能動的なものから、「次世代が回す歯車の行方を見守る」という受動的なものへとシフトした点にあります。復活直後、彼はうちは一族と里の真実を知りたいと願うサスケの意志を汲み取り、自身の野望を差し置いて、その手助けに徹しました。超高難易度の術である「屍鬼封尽・解」を成功させ、歴代火影たちを穢土転生で蘇らせ、サスケが自らの進むべき道を見出すための対話の場を設けたのです。これは、かつてサスケを自身の野望を叶えるための「器」としか見ていなかった頃からは考えられない行動でした。

サスケが「イタチの想いを無にはしない。俺が里を守る」という決断を下すと、大蛇丸はそれを否定することなく受け入れ、彼の協力者として戦場へ向かいます。そこでは、かつて自らが手にかけた師・ヒルゼンと背中を合わせて戦い、瀕死の状態にあった綱手を医療忍術で救うなど、過去の因縁を乗り越えるかのような行動を次々と見せました。これらの出来事を通して、彼の関心が自身の不老不死や術の探求といった個人的な野望から、サスケという「自分とは異なる風」が巻き起こす未来を見届けることへと完全に移ったことが明らかになります。この献身的な姿に、多くのファンが感銘を受け、「保護者丸」という愛称が生まれるほどでした。

性格が丸くなったターニングポイント

大蛇丸:性格が丸くなったターニングポイント
引用元:NARUTO OFFICIAL SITE

大蛇丸の価値観が大きく転換し、性格が丸くなった直接的なターニングポイントは、彼の生き方を完璧なまでに模倣した最愛の弟子、薬師カブトの哀れな末路を目の当たりにしたことにあると言えるでしょう。サスケに敗れ、その精神世界に封印されていた間も、大蛇丸はみたらしアンコに刻んだ呪印を介して、外界で起こる出来事の大部分を認識していました。その中で彼は、カブトが自身の亡骸から細胞やチャクラを取り込み、研究を引き継ぎ、ついには自分ですら完全には至れなかった竜地洞の仙人モードを完成させるまでの一部始終を見ていたのです。

カブトは大蛇丸の全てをトレースすることで、ある意味では大蛇丸本人を超えるほどの強大な存在へと変貌を遂げました。しかし、その絶対的な力を手に入れたにもかかわらず、彼の心は満たされることなく、アイデンティティの欠如という根本的な問題を抱え続けていました。そして最終的に、うちはイタチが放った究極の瞳術「イザナミ」によって敗北し、運命を受け入れて本当の自分を見つけるまで無限に続くループの中に閉じ込められてしまいます。

このカブトの失敗は、大蛇丸にとって自身の哲学の限界、そしてその終着点を突きつけられる極めて衝撃的な出来事でした。彼は第四次忍界大戦で復活した際、綱手との会話の中で、自身の心境の変化を象徴する以下の言葉を口にしています。

「…昔は自らが風となり風車を回したいと思っていたわ でも今はいつ吹くか分からない他の風を待つ楽しさも知れた…」

このセリフは、自分の力と知識で世界の真理さえもコントロールしようとしていた過去の自分と決別し、サスケのような予測不能で自分とは異なる意志を持つ存在(=いつ吹くか分からない他の風)が、どのような未来を創造するのかを観察する新たな楽しみを見出したことを雄弁に物語っています。つまり、最も信頼し、自身の理想を託した弟子であったカブトの失敗こそが、彼の価値観を根底から覆す決定的なターニングポイントとなったのです。

自分そっくりな弟子の失敗から学ぶなんて、めっちゃええ話やんか!人はいつからでも変われるってことやな、ほんまに!

カブトの失敗が心境に与えた影響

前述の通り、薬師カブトの失敗は、大蛇丸の心境に計り知れないほど大きな影響を及ぼしました。カブトは大蛇丸への深い思慕とコンプレックスから、彼の細胞や研究データ、さらには音の五人衆や水月の能力までをも自身に取り込み、「大蛇丸を超える大蛇丸」そのものになろうとしました。その結果、白激の術や無機転生といった自然エネルギーを操る仙術を自在にこなし、第四次忍界大戦では穢土転生で歴代の強者を蘇らせるなど、忍連合軍を壊滅寸前にまで追い込むほどの力を手にします。これは、まさに大蛇丸が理想とした力の具現でした。

しかし、その強大な力は、皮肉にも彼自身のアイデンティティの欠如という致命的な弱点を浮き彫りにしました。他者を模倣し、他者の力を取り込み続けたカブトは、結局「本当の自分とは何者か」という問いに対する答えを見失っていました。その心の隙、自己肯定感の欠如をうちはイタチに見抜かれ、物理的な強さでは勝っていたにもかかわらず、精神を救済する瞳術「イザナミ」の前に敗れ去ります。

大蛇丸は、この一連の顛末を呪印を通して静かに観察していました。自分を完璧にトレースしたはずの、いわば「もう一人の自分」とも言える弟子が、理想の力を得ながらも最終的には精神的な破綻を迎えたこと。この事実は、大蛇丸に「力や知識だけでは真理には至れない」という、かつての自分であれば決して認めなかったであろう重い気づきを与えたと考えられます。彼が人生の全てを注ぎ込んできた探求の道が、必ずしも幸福な結末や真の理解には繋がらないことを、最も信頼していた弟子が皮肉にも身をもって証明してしまったのです。

この出来事があったからこそ、大蛇丸の興味は、自分を模倣しなかったもう一人の弟子、うちはサスケの「自分なりの答え」へと強く向かうことになります。自分の延長線上にあるカブトの未来ではなく、全く予測のつかない道を歩もうとするサスケの未来を見守ること。そこに新たな探求の価値と、自分では見つけられなかった真理への可能性を見出したことが、彼を大きく変化させる原動力となったと言えるでしょう。

サスケを見守る保護者のような一面

第四次忍界大戦において復活を遂げて以降の大蛇丸は、うちはサスケに対し、かつての利害関係を完全に超越した、まるで保護者のような深い愛情と配慮に満ちた振る舞いを見せるようになります。以前はサスケの優れた血継限界と才能を、自身の不老不死を維持するための単なる「器」としてしか見ていなかった彼が、サスケ自身の苦悩や意志を深く理解し、その成長を温かく見守る立場へと劇的に変化したのです。

その最も象徴的な行動が、サスケの問いに答えるために歴代火影を穢土転生で蘇らせた場面です。サスケが抱いた「里とは何か、忍とは何か、そして兄イタチが生きた意味は何か」という根源的な問いに対し、大蛇丸は自らの思想を押し付けることなく、サスケ自身が答えを見つけ出すための最良の環境を用意しました。これは、サスケを一人の独立した人間として深く尊重し、彼の未来と選択に全幅の信頼を寄せていることの何よりの証拠です。

戦場へ向かう道中でも、彼の態度は一貫して穏やかでした。サスケの仲間である「鷹」のメンバー、水月と香燐がくだらない口論を始めると、「ケンカはよしなさい。さもないと体を乗取るわよ」と、かつての脅威を微塵も感じさせない冗談でたしなめる姿は、もはや冷酷な悪役の面影を全く感じさせません。むしろ、反抗期の子供たちに手を焼く親のような温かみさえ漂わせていました。

そして、サスケが数々の対話の末に「里を守る」という最終的な決断を下した際も、大蛇丸はそれを静かに受け入れ、彼の最大の協力者として戦いに身を投じました。この一連の行動は、彼が自身の個人的な野望から完全に解放され、次世代の若者が切り開く新たな可能性に希望と楽しみを見出したことを明確に示しており、多くのファンから愛情を込めて「保護者丸」と呼ばれる所以となったのです。

あの冷酷やった人が『保護者丸』やなんて!ギャップがすごすぎておもろいけど、こっちの方が絶対ええわ!

大蛇丸がいいやつになった後の評価とファンの声

  • 大蛇丸がなぜ許されたのかファンの考察
  • アニメで見せたキャラ崩壊とギャグ描写
  • BORUTOでのミツキの親としての姿
  • 物語の最後はいいやつになったのか?
  • 【総まとめ】結局、大蛇丸はいいやつと言えるのか

大蛇丸がなぜ許されたのかファンの考察

三代目火影の殺害、風影の暗殺、数々の非道な人体実験など、大蛇丸が犯した罪は火影経験者であるサスケや元・暁のメンバーと比較しても、その質・量ともに計り知れないほど重いものです。にもかかわらず、なぜ彼は最終的に処刑されることなく、いわば「許された」状態で存在し続けているのでしょうか。この点については、作中の描写やファンの間で様々な説得力のある考察がなされています。

① 殺すことの困難さとリスク管理

最も現実的な理由として挙げられるのが、彼を完全に殺害し、その存在を抹消することの極めて高い困難さです。大蛇丸は独自の禁術「不屍転生」によって肉体を乗り換えるだけでなく、自身のチャクラや意識のバックアップデータを「呪印」として他者に埋め込むことが可能です。作中でサスケやイタチによって一度は封印されたものの、最終的にみたらしアンコに埋め込まれていた呪印から復活した事実が、このシステムの厄介さを証明しています。つまり、仮に今いる大蛇丸の本体を倒したとしても、世界のどこかに存在するかもしれない未知の呪印から、再び復活する可能性を否定できないのです。さらに言えば、復活した彼が現在の穏健な人格を維持している保証はどこにもありません。むしろ、より悪意に満ちた存在として蘇るリスクすら考えられます。こうした観点から、木ノ葉隠れの里の上層部は、彼を殺害しようとして失敗するリスクを冒すよりも、現在の穏健な個体をヤマトなどの監視下に置いてコントロールする方が、はるかに安全で里の利益にかなうと判断したと考えられます。

② 第四次忍界大戦での多大な功績

彼の罪が許された背景には、第四次忍界大戦における無視できない功績も大きく関わっています。彼が穢土転生で蘇らせた歴代火影たちの参戦は、絶望的だった戦局を覆すほどの決定的な力となりました。特に、五影がうちはマダラに敗れ、忍連合軍が十尾の前に絶体絶命の危機に瀕した際、彼らの到着はまさに希望の光でした。また、戦場で重傷を負った綱手を治療し、五影を戦線に復帰させたことも大きな功績です。戦争終結後、七代目火影となったナルトが掲げた「憎しみの連鎖を断ち切る」という理想の世界を実現する上で、大戦の功労者でもある大蛇丸を過去の罪だけで断罪することは、その理念に反する行為であったのかもしれません。

③ 唯一無二の科学力と知識

平和な時代が訪れ、科学技術が発展した『BORUTO』の世界において、大蛇丸の持つ科学力と忍術に関する深い知識は、里にとって極めて重要な戦略的資産となっています。大筒木一族のような規格外の脅威や、未知のウイルス、古代の遺物など、従来の忍術だけでは対応できない問題に直面した際、彼の遺伝子工学やクローン技術、膨大な知識は唯一無二の解決策となり得ます。実際に作中でも、彼の研究やアジトが事件解決の鍵となる場面が度々描かれています。里としては、彼を処罰してその頭脳を失うよりも、監視下で協力関係を築き、有事の際にその力を借りる方がはるかに有益である、という政治的な判断が働いていることは間違いないでしょう。

これらの理由が複合的に絡み合い、大蛇丸は「処刑も投獄もされないが、厳重な監視下に置かれる」という、極めて特殊な立場に落ち着いているのです。

アニメで見せたキャラ崩壊とギャグ描写

原作の物語が持つシリアスで緊迫した雰囲気とは一線を画し、アニメのオリジナルストーリーやスピンオフ作品では、大蛇丸の意外なほどコミカルな一面、いわゆる「キャラ崩壊」が大胆に描かれ、ファンの間で大きな反響を呼びました。このギャップは、彼のキャラクターに新たな魅力を与える重要な要素となっています。

その最たる例が、スピンオフ漫画を原作とするアニメ『ロック・リーの青春フルパワー忍伝』での扱いです。この作品において、かつて木の葉を恐怖に陥れたラスボス候補としての威厳は完全に消失。腹心の薬師カブトと共に、どこか憎めない小悪党的なポジションで登場し、木の葉の里に潜入しようとしてはドジを踏んだり、非常にテンションの高い言動を繰り返したりと、徹底的にギャグキャラクターとして描かれています。担当声優であるくじらさんのノリの良い演技も相まって、この作品をきっかけに大蛇丸のイメージが大きく変わったファンも少なくありません。

このコミカルなキャラクター像は、本編アニメのオリジナルエピソードにも輸入されることになります。特に、ナルトとヒナタの結婚を描いたシリーズ「木ノ葉秘伝 祝言日和」では、そのキャラ崩壊ぶりが頂点に達しました。監視役であるヤマト隊長が見守る中、なぜか焼肉屋の店員として甲斐甲斐しく働いていたり、ナルトへの結婚祝いのビデオメッセージをノリノリで収録しようとしたり、ラーメン屋「一楽」の前で指をくわえて立ち尽くしたり、果てはシノが放った忍蟲に本気で怯えて逃げ回ったりと、原作からは想像もつかないやりたい放題の姿が次々と描かれました。

これらの愛情のこもったギャグ描写は、大蛇丸の根底にある人間臭さや、どこか掴みどころのないミステリアスな魅力を際立たせる結果となりました。シリアスな本編で見せる冷酷な姿と、コミカルな作品で見せるお茶目な姿。その振れ幅の大きさが、大蛇丸というキャラクターをより一層深く、面白みのある存在へと昇華させたと言えるでしょう。

BORUTOでのミツキの親としての姿

大蛇丸:BORUTOでのミツキの親としての姿
引用元:NARUTO OFFICIAL SITE

物語の正当な続編である『BORUTO-ボルト- NARUTO NEXT GENERATIONS』の世界では、大蛇丸はさらに驚くべき、そして温かい一面を見せます。それは、自身の持つ最高のクローン技術を駆使して生み出した人造人間「ミツキ」の、唯一無二の「親」としての姿です。

かつて生命を研究対象や目的を達成するための道具としか見なしていなかった大蛇丸が、ミツキに対しては深い愛情と期待を注ぎ、一人の人間としてその成長を心から願っています。彼はミツキを自分の管理下に置くのではなく、何度も記憶をリセットしながら試練を与え、「自らの意志で未来を選択させる」という極めて高度な教育を施しました。これは、かつて全てを自分の支配下に置こうとしていた彼からの、最も大きな変化と言えるでしょう。

ミツキ自身も大蛇丸を「親」として深く尊敬し、その関係は非常に良好です。激務のあまり息子とすれ違いがちなナルトや、任務で長期間里を離れがちで娘と距離ができてしまったサスケと比較され、ファンの間では冗談めかして「伝説の三忍の中で、最も子育てに成功している」と囁かれるほどです。

アカデミーの三者面談には、もちろんヤマトの監視付きではありますが、一人の保護者として真摯に参加する姿も見られます。その際、サラダから「ミツキのパパなの?それともママなの?」という核心的な問いを投げかけられ、「どちらでもあったし、どちらでもない時もあった…外側のことなんてどうでもいいのよ」と、ジェンダーや既存の枠組みを超越した彼らしい哲学で答えています。

研究者としての飽くなき探究心はそのままに、その情熱を「生命を弄ぶ」ことから「新たな生命を育み、その可能性を見守る」ことへと昇華させた大蛇丸。その姿は、『BORUTO』の時代における彼の新たな存在意義を明確に示しています。

まさか伝説の三忍の中で一番子育て上手になるとは思わんかったわ!人には意外な才能があるもんやなあ、感心するで。

物語の最後はいいやつになったのか?

それでは、物語の最後、大蛇丸は本当に「いいやつ」になったのでしょうか。この問いに対する答えは、単純な「はい」か「いいえ」の二元論で語ることはできません。彼の行動が終盤にかけて劇的に穏やかになり、かつてのような非道な行いをしなくなったのは紛れもない事実です。しかし、それは彼が純粋な善人に生まれ変わったというよりは、彼の興味の対象と人生のフェーズが変化し、それに伴って行動様式が変わった結果と捉える方が、より本質を捉えているでしょう。

彼の根底にある「あらゆる術と真理を探求したい」という強烈な知的欲求は、おそらく生涯消えることはありません。第四次忍界大戦という大きな転換点を経て、彼はその探求の手段を、自らが歴史の舞台に立って世界をかき乱すことから、サスケやミツキといった自分とは異なる価値観を持つ次世代が、どのような未来を織りなしていくのかを特等席で「観察」することへと切り替えたのです。彼の言動が丸くなったのは事実ですが、それはあくまで自身の究極的な目的である「真理の探求」を達成するための、最も合理的で、かつ今の彼にとって最も興味深い方法論を見つけ出したから、と解釈することも可能なのです。

また、彼が現在も木ノ葉隠れの里の厳重な監視下にあるという外部的な要因も無視できません。もし彼が完全に自由な立場であったなら、再び何らかの倫理的に問題のある禁術研究に手を染める可能性はゼロとは言い切れないでしょう。つまり、彼の穏やかな態度は、カブトの失敗を経て得た内面的な変化と、里からの抑止力という外部からの要因、その両輪によって保たれていると考えるのが自然です。

これらの点を総合すると、大蛇丸は「善悪の枠組みを超越した純粋な探求者」であり、物語の最後では、その探求のスタイルがより平和的で、建設的な形へと落ち着いた、と評価するのが最も適切かもしれません。「いいやつ」になったというよりは、「円熟したマッドサイエンティスト」になった、と言うべきでしょうか。

ただの『いいやつ』で終わらんのが大蛇丸のええとこやと思うわ。複雑やからこそ、こないに惹きつけられるんやろなあ。

【総まとめ】結局、大蛇丸はいいやつと言えるのか

この記事で解説してきた内容を踏まえ、大蛇丸が「いいやつ」と言えるのかについて、重要なポイントを改めてまとめます。

  • 大蛇丸は当初、目的のためなら手段を選ばない冷酷な悪役だった
  • 木の葉崩しや三代目火影殺害など、数々の非道な罪を犯した
  • 不老不死を求め、他者の肉体を奪う禁術「不屍転生」を開発した
  • 第四次忍界大戦での復活後、言動が著しく穏やかになった
  • 性格が丸くなったのは、弟子カブトの失敗を目の当たりにしたことが大きい
  • カブトの失敗から、自身のやり方の限界を悟ったと考えられる
  • 行動原理が「自らが事を起こす」から「次世代を見守る」へ変化した
  • サスケの意志を尊重し、その成長を助ける「保護者」のような立場になった
  • 罪が許された背景には、完全に殺すことの困難さがある
  • 監視下に置く方が、野放しにするよりリスクが低いと判断された
  • 第四次忍界大戦での功績や、ナルトの理念も許された一因と考えられる
  • アニメではコミカルな「キャラ崩壊」を見せ、親しみやすさが増した
  • 『BORUTO』ではミツキの親として、深い愛情を注ぐ一面を見せている
  • 「いいやつ」になったというより、興味の対象が変化したと解釈できる
  • 彼の本質は善悪を超えた「探求者」であり、その在り方が変化したと言えるだろう
【ナルト】大蛇丸はいいやつ?改心した(丸くなった)理由と最後を解説

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