【ボルト】なぜ奈良シカマルが8代目火影に？補佐からの就任経緯と評価

『BORUTO』を読み進める中で、奈良シカマルが火影として登場するシーンを見て驚いた方も多いのではないでしょうか。

「なぜ奈良シカマルが火影になったのか」という疑問や、七代目までの圧倒的な戦闘力と比較して「歴代火影で最弱なのでは？」といった声も聞かれます。

長年、火影補佐としてナルトを支えてきた彼が、どのような経緯で里のトップに立つことになったのか、その背景や役割について詳しく知りたい方もいるはずです。

この記事では、シカマルの八代目火影就任に関する経緯や、周囲からの評価について解説します。

BORUTOで奈良シカマルが火影になった経緯

八代目火影になぜ奈良シカマルが就任した？

https://twitter.com/NARUTO_kousiki/status/1949303735953359344

奈良シカマルが八代目火影として選ばれた結論は、七代目火影ナルトの不在という未曾有の緊急事態において、彼が里のトップとして最も適任な後継者であると判断されたためです。

シカマルの就任は、単なる人気や戦闘力ではなく、極めて現実的な理由に基づいています。最大の理由は、六代目火影・はたけカカシの時代から七代目火影・うずまきナルトの時代に至るまで、長期間にわたり「火影補佐」として里の運営実務を支え続けた圧倒的な実績です。

さらに、第四次忍界大戦では父シカクの戦死直後から忍連合軍全体の参謀として指揮を執った経験も持ち合わせています。平時だけでなく、有事の際の危機管理能力も実証済みでした。

加えて、政治的・外交的な側面も無視できません。シカマルの妻は砂隠れの里のテマリであり、彼女は五代目風影・我愛羅の実姉です。つまり、シカマルは風影の義兄という立場にあたり、五大国の一つである砂隠れとの強固なパイプを持っています。これは他里との連携において計り知れない強みとなります。

『BORUTO』の物語において、ナルトがカワキによって封印され、表向きには「死亡」と認識される危機的状況が発生します。里のトップが長期間不在となる中、火の国の大名や里の上層部は、この混乱を収拾し里を導く新たな指導者を早急に選定する必要に迫られました。

ナルトの右腕として実務を最も深く理解し、卓越した頭脳、危機管理能力、そして外交的資産を兼ね備えたシカマルが後任として選ばれるのは、必然的な流れであったと考えられます。

七代目火影ナルトの不在が就任のきっかけ

シカマルが火影としての職務に就くことになった直接的な引き金は、前任者である親友・うずまきナルトの突然の失踪です。

この事件は『BORUTO』第一部のクライマックスで発生しました。大筒木一族の力を受け継ぐエイダの「全能」と呼ばれる能力が暴走し、カワキとボルトの立場が全世界レベルで入れ替わるという、常識では考えられない認識改変が起こります。

カワキは「火影の息子カワキ」、ボルトは「七代目を殺した里抜け忍ボルト」として人々の記憶に刷り込まれました。この大混乱の最中、カワキはナルトとヒナタの二人を、大筒木の異空間である大黒天に封印してしまいます。

里の忍たちの認識は、「カワキ（彼らの認識ではボルト）が七代目火影ナルトを殺害し、ボルト（彼らの認識ではカワキ）がその共犯者としてサスケと共に里を抜けた」という、事実とは全く異なるものに書き換えられました。

これにより、木の葉隠れの里は、里の英雄であり最強の戦力であったナルトを「死亡」という形で失うことになりました。指導者と最強の守り手を同時に失うという、里の歴史上でも類を見ないほどの深刻な事態に陥ったのです。

この絶対的な権力の空白と戦力低下という危機を乗り越えるため、火影補佐としてナルトの次に里の事情に通じていたシカマルが、八代目として職務を引き継ぐことになりました。

他の火影候補はいなかったのか？

ナルトが不在となった緊急事態において、シカマル以外に火影の重責を担える有力な候補者は、事実上ほとんど存在しなかったと考えられます。

火影という役職は、単に戦闘力が高いだけでは務まりません。里の数千、数万の忍と住民の生活を背負い、里の運営を司る行政能力、他国と渡り合う外交・政治力、そして何よりも里の者たちをまとめ上げる人望が不可欠です。

ナルトの同期や上忍たちの中にも優れた忍は多くいますが、それぞれに就任が難しい事情がありました。

候補者名	主な実績・資質	就任が困難だった理由
うちはサクラ	綱手の弟子、医療忍者トップ、大戦の功労者、高い戦闘力と実績	夫サスケの立場（認識改変により「ナルト殺害の共犯者」の仲間と認識されたため）、 医療部門のトップという専門職の重要性
はたけカカシ	六代目火影としての実績、高い戦闘力と知略、里からの絶大な信頼	本人がすでに火影の座を退き、隠居の意向を持っていたため。 後進に道を譲るという強い意志や、シカマルへの信頼から固辞した可能性が高い
猿飛木の葉丸	三代目火影の孫、ナルトの弟子、将来の火影候補としての期待	里全体をまとめるには若く、 シカマルと比較して政治的・行政的な実績が圧倒的に不足していたため
うちはサスケ	ナルトに並ぶ実力者（「もう一人の火影」）	認識改変により「ナルト殺害の共犯者」と共に里を抜けたと認識されており、 選定の土俵にすら上がらない

このように、他の有力候補が様々な理由で就任困難であった状況を鑑みると、六代目・七代目を補佐し続けたシカマルが、消去法的に見ても、また実績と能力から見ても、唯一かつ最適な選択肢であったことが明確になります。

正式就任を断り火影代行として活動

シカマルは火の国の大名や上層部からの任命を受け入れ、八代目火影としての職務を開始しましたが、彼自身はその立場を「正式なもの」とは認めていません。「火影代行」として、あくまで一時的にその座を預かっているという姿勢を貫いています。

この行動の根底にあるのは、シカマルが親友ナルトの「死」を心の底では受け入れられていないからです。エイダの「全能」による認識改変の影響はシカマルにも及んでいますが、彼は心のどこかでナルトがまだ生きていると信じている節があります。

その証拠に、シカマルは火影が着用する伝統的な羽織に、「八代目火影」の刺繍を入れることを頑なに拒否していると描写されています。これは、ナルトへの深い信頼と友情の証であり、ナルトの帰還を信じ、その「席」を空けて待つというシカマルなりの義理立ての表れでしょう。

また、『BORUTO: Two Blue Vortex』の物語では、シカマルが「全能」によって書き換えられた記憶に対し、論理的な違和感を抱き始めている様子が描かれます。アマドとの会話や、突如里に現れたボルトとの対話を通じ、彼は自らの記憶と目の前で起こる現実との間に存在する微細なズレに気づき、真実に近づこうと苦悩します。

ナルトが生きているかもしれないという疑念を捨てきれない限り、彼が自ら進んで正式な八代目として完全に就任することはないと考えられます。

火影岩に顔が彫られていない理由

木の葉隠れの里の象徴であり、歴代火影の功績を讃える火影岩に、タイムスキップ後もシカマルの顔が彫られていないのは、彼が「火影代行」という暫定的な立場を貫いているためです。

火影岩に顔を刻むという行為は、単なる記念碑ではなく、里の歴史に名を残す「正式な火影」として就任したことを、里の内外に示す極めて重要な意味を持ちます。

前述の通り、シカマルはナルトの生存を信じ、自らの就任を正式なものと認めていません。そのため、自らの顔を歴代火影と並べて岩に刻むことを許可していないと考えるのが自然です。里の住人や他国からは「八代目火影」として認識され、その職務を全うしていますが、シカマル自身のけじめとして、ナルトの帰還を待つという強い意志がこの行動に反映されています。

過去には、志村ダンゾウが五影会談の際に「六代目火影」として振る舞った時期がありましたが、彼の顔が火影岩に彫られることはありませんでした。この前例からも、正式な就任プロセスを経ていない代行や暫定的な立場の指導者の顔は、火影岩に刻まないという里の慣習がある可能性も指摘されています。

奈良シカマルは火影としてどう評価されている？

歴代火影で最弱との声も多い

奈良シカマルが八代目火影に就任したことに関して、インターネット上やファンの間では「歴代火影の中で最弱」という評価が広く聞かれます。作中でも、サラダがシカマルに対して厳しい言葉を向けるシーンがありました。

この評価の根拠は、歴代の火影たちが「里で最強の忍」と呼ばれるにふさわしい、規格外の純粋な戦闘能力を有していたことにあります。

シカマルの能力は、奈良一族秘伝の影忍術と、IQ200以上と評される卓越した頭脳による戦術・知略が中心です。これは疑いなく強力な能力であり、上忍としてもトップクラスですが、惑星規模の力を持つ大筒木一族との戦闘が常態化している『BORUTO』の世界観や、過去の火影たちの業績と比較すると、どうしても見劣りしてしまいます。

以下の表は、歴代火影の戦闘スタイルとシカマルのスタイルを比較したものです。

火影	主な戦闘スタイル・特筆事項	シカマルのスタイルとの比較
初代・柱間	木遁、仙術（地形を変える規模の戦闘）	戦闘力の規模、チャクラ量共に比較にならない
二代目・扉間	水遁、飛雷神の術、穢土転生（禁術開発、知略）	知略面は共通するが、扉間は戦闘力も規格外
三代目・ヒルゼン	全属性、口寄せ（プロフェッサーと呼ばれた万能型）	戦闘経験、術の多彩さ、総合力で圧倒的に上回る
四代目・ミナト	飛雷神の術、螺旋丸（超高速戦闘、一対多の制圧）	戦闘の質（スピード、決定力）が根本的に異なる
五代目・綱手	怪力、創造再生（近接破壊力と驚異的な再生能力）	シカマルにない圧倒的な近接破壊力と耐久性を持つ
六代目・カカシ	雷切、写輪眼（コピー）、知略（万能型アタッカー）	知略型だが、カカシの方が直接火力・戦闘経験豊富
七代目・ナルト	仙術、九尾チャクラモード（里最強、規格外の破壊力）	比較対象にならない絶対的な戦闘力とチャクラ量
八代目・シカマル	影忍術、知略（サポート、拘束、戦術指揮）	直接火力・耐久力は低いが、指揮・分析能力は随一

このように、シカマルの戦闘力は、直接的な破壊力や耐久力が求められる火影のイメージとは異なるため、「最弱」という声が上がってしまうのはある意味仕方のないことと言えます。

軍師としての功績と優れた頭脳

純粋な戦闘力だけで見れば「最弱」という評価もやむを得ませんが、シカマルの真価はそこにはありません。彼の最大の武器は、「軍師」としての卓越した頭脳と、戦局全体を俯瞰し勝利に導く指揮能力にあります。

この才能は『NARUTO』時代から一貫して描かれてきました。

中忍試験とサスケ奪還任務

中忍試験では、同期の中で唯一中忍に昇格しました。これは戦闘の勝敗だけでなく、劣勢を冷静に分析し、チャクラ切れを計算して「ギブアップ」を選択できるほどの冷静な判断力と、数手先を読む戦略眼が評価されたためです。続くサスケ奪還任務では、初の隊長として寄せ集めのメンバー（ナルト、キバ、ネジ、チョウジ）を率い、それぞれの能力を最大限に活かすフォーメーションを即座に考案し、格上の「音の四人衆」と渡り合いました。

飛段・角都戦

師であるアスマの仇討ちでは、シカマルの頭脳が遺憾なく発揮されます。相手は「不死身」であり、未知の呪術を使う飛段でした。シカマルはアスマの犠牲から得た情報を冷静に分析し、飛段の能力のカラクリを解明。最終的には相手の能力を逆用し、地形と準備した戦略を完璧に組み合わせて、暁のメンバーを単独で撃破するという大金星を挙げています。

第四次忍界大戦

最大の功績は、第四次忍界大戦における活躍です。十尾の攻撃により作戦本部が壊滅し、父シカクが戦死するという極限の状況下で、彼は動揺を見せず即座に忍連合軍全体の作戦指揮を引き継ぎました。ナルトをサポートし、戦局を的確に読み解きながら全軍に指示を出し続け、連合軍の勝利に不可欠な役割を果たしました。

これらの実績が示す通り、シカマルの頭脳は一個人の戦闘力を超える、「戦略級」の資産であると言えます。

NARUTO時代からの火影の器という評価

シカマルが火影の器であるという評価は、『BORUTO』になってから急に浮上したものではなく、『NARUTO』の物語が進む中で、彼の本質を見抜いていた人物たちによって示唆されていました。

最も早く彼の資質を見抜いていたのは、師である猿飛アスマです。アスマはシカマルとの将棋を通じて、彼の面倒くさがりな性格の裏にある、並外れた思考力と仲間への責任感を理解していました。アスマはシカマルを、駒を飛び越えて進むユニークな動きをする「桂馬」に例えました。

そして、飛段との戦いで命を落とす間際、アスマはシカマルに「火影にもなれる…器だ…」という最期の言葉を残します。これは、アスマがシカマルの持つ知略と、何よりも里の未来（＝玉）を守るという意志の強さを見抜いていたからに他なりません。

また、第四次忍界大戦中、シカマルの指揮能力を目の当たりにしたテマリも、心の中で「お前ならいい火影になれる…」と彼の器を認めています。

シカマル自身も、大戦中にナルトが皆から信頼される姿を見て、そして自らが瀕死の状態からナルトのチャクラによって救われた際、「ナルトの相談役（火影補佐）にオレ以上の奴はいねーからよ！」と、ナルトの隣で彼を支えることを決意しました。この決意は、単なる友情だけでなく、ナルトという「光」を支える「影」として、里の未来を戦略的に見据えたシカマルの覚悟の表れでした。

長年の火影補佐としての経験と実績

シカマルの八代目火影就任を裏付ける最も強力な根拠は、「最弱」という戦闘力の評価を覆すほどの圧倒的な「実務能力」と「政治経験」です。

火影の仕事は、有事に最前線で戦うことだけではありません。むしろ平時においては、里の運営、財政管理、他里との外交折衝、忍の任務の割り振りといった膨大な「行政」と「政治」が仕事の大半を占めます。シカマルは、この分野において木の葉で随一の経験者でした。

六代目・カカシ時代

第四次忍界大戦が終結した後、里は復興という困難な課題に直面しました。シカマルは六代目火影に就任したはたけカカシの補佐役として、この戦後復興期の複雑な行政実務を支えました。

七代目・ナルト時代

その後、親友うずまきナルトが七代目火影に就任すると、シカマルは「火影補佐（相談役）」として正式にナルトの右腕となります。ナルトが「里の英雄」として外交や里の象徴として活動する一方、シカマルは里の内政、つまり里の近代化に伴う膨大な実務処理や、各所との政治的折衝を一手に引き受けていました。

ナルトが影分身を駆使しても過労で倒れてしまうほどの火影の激務を、最も近くで、最も深く理解し、補佐し続けてきたのがシカマルです。ナルトの「理想」や「人望」という名のエンジンを動かすために不可欠な、「実務」という名の潤滑油であり続けたのです。

戦闘力だけでなく、里を動かす行政能力と政治力こそが火影には不可欠であり、この点において、ナルト不在の里でシカマル以上の適任者はいなかったのです。

貧乏くじ？シカマルの火影としての役割

シカマルの八代目火影就任は、これまでの功績が認められた名誉であると同時に、歴代火影の中でも類を見ないほど困難な状況下での就任であり、「貧乏くじ」を引かされたという側面も非常に色濃く持っています。

彼が里のトップに立たされたのは、以下のような複数の危機が同時に発生している、まさに最悪のタイミングでした。

『NARUTO』時代、「めんどくせぇ」が口癖で、平凡な人生を望んでいたはずの彼が、皮肉にも全忍の歴史上でも最も「面倒」で過酷な役回りを引き受けることになりました。

『BORUTO: Two Blue Vortex』では、認識改変の影響に苦悩しながらも、冷静さを失わずに現状を分析し、ボルトと密かに接触を図るなど、里の維持と真実の追求のために奔走する姿が描かれています。彼の火影としての役割は、派手な戦闘ではなく、この未曾有の危機的状況下で里の秩序が崩壊しないよう、水面下で耐え忍び、最善の手を模索し続けることにあるのです。

【総括】奈良シカマルが火影であることのまとめ