【ナルト】チヨバアの若い頃｜息子を亡くし、孫サソリを愛した悲劇の物語

『NARUTO -ナルト-』に登場する砂隠れの里の重鎮、チヨバア。

物語の重要な局面で登場し、その圧倒的な実力と深い愛情で多くの読者に強い印象を残しました。

特に、チヨバアの若い頃の活躍については、伝説として語り継がれるほどです。

この記事では、「チヨバアの若い頃はどれほど強かったのか？」という疑問に焦点を当て、彼女の強すぎると言われる所以を徹底的に解説します。

また、最愛の孫サソリや、はたけサクモに殺された息子との悲しい関係、弟エビゾウとの絆、そして我愛羅を救った命懸けの術に至るまで、彼女の本当の年齢や人柄を深く掘り下げていきます。

チヨバアの若い頃は伝説級？その強さを解説

チヨバアの若い頃の伝説的な活躍

若い頃のチヨバア(妄想)と平和if🦂の絵、並べるといい感じだな
十機近松の集を受け継ぐ平和if🦂は本当に見たいよ… pic.twitter.com/fDIm4ncgf2

— りゅう (@seiryu_25) September 21, 2024

チヨバアの若い頃の活躍は、単なる一個人の武勇伝に留まらず、砂隠れの里の歴史そのものに深く刻まれた、まさに「生ける伝説」と呼ぶにふさわしいものでした。彼女は里でも屈指の傀儡師として名を馳せるだけでなく、その実力と影響力は国家間のパワーバランスにも影響を与えるほど戦略的な価値を持っていました。

なぜなら、彼女が第一線で戦っていた時代と、対峙してきた相手の格が、その事実を雄弁に物語っているからです。作中では、かの「伝説の三忍」ですら名が霞むと評された木ノ葉の天才忍者、はたけサクモ（はたけカカシの父）と互角以上に渡り合った世代であることが示唆されています。これは、当時の忍界における「強さ」の頂点に、チヨバアが限りなく近い位置にいたことを意味します。

さらに特筆すべきは、小国・雨隠れの長でありながら、若き日の三忍をまとめて圧倒した実力者、山椒魚の半蔵と幾度となく矛を交えた経験です。半蔵の強さの根幹は、口寄せする巨大な山椒魚「イブセ」が散布する猛毒にありました。多くの忍が為すすべなく倒れる中で、チヨバアはこの毒を解析し、対策を講じることができた数少ない人物です。これは、彼女が卓越した戦闘員であると同時に、敵の能力を無力化できる高度な知識と分析力を持つ、一流の医療忍者であったことの証明に他なりません。当時の戦闘において、半蔵の毒を攻略できるか否かは、戦局を左右する極めて重要な要素であり、チヨバアの存在は砂隠れにとって計り知れない戦略的アドバンテージだったと考えられます。

加えて、彼女の伝説を象徴するのが、孫のサソリも語った「一人で城一つを落とした」という規格外の逸話でしょう。これは、後述する彼女の最高奥義「白秘技・十機近松の集」による戦果です。一個人で敵国の拠点を完全に機能不全に陥れるというのは、もはや一個人の戦闘能力を超え、一つの軍隊に匹敵する戦略兵器とも言える存在です。資源に乏しく、常に大国間の緊張にさらされていた砂隠れにとって、少ない兵力で最大の戦果を上げるチヨバアの力は、里の存続を支える最後の切り札の一つだったのかもしれません。

このように、チヨバアの若い頃の活躍は、単に強かったという言葉だけでは片付けられません。世界最高峰の忍たちと渡り合う実力、敵の切り札を無効化する知性、そして戦況を一変させるほどの破壊力を兼ね備えた彼女は、砂隠れの里を守り、その名を忍界史に刻んだ、かけがえのない英雄的な存在であったと言えます。

隠居しても強すぎると言われる所以

70歳を超えて隠居の身でありながら、チヨバアが「強すぎる」と言われるのには明確な理由があります。それは、長年の実戦で培われた圧倒的な経験値と、衰えを知らない傀儡師としての技量にあります。

通常、忍は年齢と共に身体能力が低下しますが、傀儡師は自身の体を直接使う戦闘スタイルとは一線を画します。チャクラ糸で傀儡を操るため、術者の身体能力が戦闘結果に直結しにくいのです。むしろ、チヨバアのように経験を積んだ術者ほど、傀儡の仕込みや敵の動きを読む駆け引きに長け、老獪な戦い方が可能になります。

実際に、暁の現役メンバーであるサソリとの戦闘では、初見では対応困難な人傀儡の仕込みを的確に見抜き、春野サクラを操って見事に連携を取りました。サソリ自身も歴代最強と謳われた三代目風影を人傀儡にしていましたが、チヨバアはサクラとの共闘でこれを打ち破っています。この時、サクラが戦闘に不慣れであったことを考えれば、チヨバアのサポートがいかに的確であったかが分かります。

このように、長年の経験に裏打ちされた戦術眼と、身体的な衰えの影響を受けにくい傀儡の術が組み合わさることで、チヨバアは隠居後も現役の影クラスに匹敵する強さを維持していました。

作中で判明しているチヨバアの年齢

物語登場時、チヨバアの年齢は73歳であることが公式ファンブック「者の書」で明記されています。これは、ナルト世界の登場人物の中でもかなりの高齢です。

弟のエビゾウと共に里の相談役を務めていましたが、すでに現役は引退しており、普段は釣りをしたり、死んだふりをして弟をからかったりして過ごしていました。しかし、その頭脳と技術は全く錆びついていません。我愛羅が暁に連れ去られた際、里の上役であるバキが真っ先に協力を要請したことからも、ご意見番としての彼女への信頼の厚さがうかがえます。

73歳という年齢は、第一次から第三次までの全ての忍界大戦を経験してきた可能性を示唆しています。まさに生きる伝説であり、彼女の知識や経験は、砂隠れの里にとって計り知れない価値があったのです。

チヨバアの公式プロフィール

項目	内容
忍者登録番号	01-002
誕生日	10月15日（てんびん座）
年齢	73歳（登場時）
身長	149.1cm
体重	39.1kg
血液型	B型
性格	早とちり、お茶目

弟であるエビゾウも相当な実力者

チヨバアの弟であるエビゾウもまた、姉に劣らない相当な実力者であったと考えられます。作中で彼が戦闘する場面は描かれていませんが、その片鱗は随所に見て取れます。

彼はかつて「砂隠れの軍師」と呼ばれた智将であり、姉のチヨバアが戦闘面でのエースだとしたら、エビゾウは戦略・戦術面で里を支える頭脳でした。姉弟揃って里の相談役という最高位の役職に就いていること自体が、その能力と実績を証明しています。

また、身体能力の高さも注目すべき点です。我愛羅奪還任務に向かう道中、ナルトをはじめとする若い忍たちが長距離移動で息を切らす中、エビゾウは平然としていました。これは、高齢でありながらも厳しい修練を続けてきた証拠であり、いざという時には高い戦闘能力を発揮できた可能性を示唆します。

このように、直接的な戦闘描写こそないものの、軍師としての経歴や高い身体能力から、エビゾウもまた姉のチヨバアと並び立つ、砂隠れのレジェンドの一人であったと言えるでしょう。

白い牙に殺されたチヨバアの息子

チヨバアが木ノ葉隠れの里に対して複雑な感情を抱く原因となったのが、息子夫婦の死です。彼女の息子夫婦は、かつての忍界大戦において、木ノ葉の天才忍者「白い牙」こと、はたけカカシの父・はたけサクモによって殺害されました。

この出来事は、チヨバアだけでなく、彼女の孫であるサソリの人生にも暗い影を落とします。両親を幼い頃に亡くしたサソリは、その愛情を知らずに育ち、孤独感から心を閉ざし、やがて里を抜ける道を選びました。チヨバアが最初に傀儡の術を教えたのは、寂しさを紛らわせるためでしたが、皮肉にもそれがサソリを人ならざる道へと進ませる一因となってしまいます。

作中、チヨバアが初めてカカシに会った際、父サクモと見間違えて激しい憎悪と共に襲いかかる場面があります。これは、息子の仇に対する長年の恨みが、いかに根深いものであったかを物語っています。この過去の悲劇が、チヨバアとサソリ、そして木ノ葉との関係を複雑にし、物語に深い奥行きを与えているのです。

白秘技・十機近松の集の威力

「白秘技・十機近松の集（しろひぎ・じっきぢかまつのしゅう）」は、チヨバアが使う傀儡の術の最高奥義であり、彼女の強さを象徴する術です。この術の威力は、孫のサソリが語った「一人で城一つ落とした」という逸話からも明らかです。

この術の最大の特徴は、傀儡師の祖とされる近松門左衛門が作った傑作傀儡10体を、同時に操る点にあります。通常、傀儡師は一体の傀儡を複数の指で操りますが、チヨバアは「指の数」と呼ばれる極意を体得しており、指一本で傀儡一体を、つまり両手の指と同じ10体の傀儡を自在に操ることが可能なのです。

作中でサソリと対決した際にこの術を披露し、サソリの「赤秘技・百機の操演」と壮絶な傀儡合戦を繰り広げました。一体一体が高い戦闘能力を持つ10体の傀儡が、一人の術者の意思で完璧に連携して襲い掛かる様は圧巻です。単純な数の上ではサソリに劣るものの、一体あたりの性能と連携の精度では決して引けを取りませんでした。

まさに一国の軍事力に匹敵すると言っても過言ではないこの術こそ、チヨバアが伝説の傀儡師と称される最大の理由なのです。

チヨバアの若い頃と家族への深い愛情

天才傀儡師である孫サソリとの関係

チヨバアと彼女の孫である赤砂のサソリの関係は、愛情と悲劇が複雑に絡み合った、非常に切ないものでした。チヨバアは、サソリにとって唯一の肉親であり、傀儡の術を教えた師でもあります。

両親を幼くして亡くしたサソリの孤独を埋めるため、チヨバアは彼に傀儡作りを教えました。サソリは類稀なる才能を発揮し、やがて天才造形師と呼ばれるようになります。しかし、満たされない心の隙間は埋まることなく、彼は「永遠の美」を追い求め、自らの体さえも傀儡に変えるという歪んだ道へと進んでしまいました。そして、20年前に里を抜け、犯罪組織「暁」の一員となります。

チヨバアは、抜け忍となった孫の身を案じ続けていました。我愛羅奪還任務への同行を決意したのも、「この世に未練があるとしたら、孫のサソリに一目会いたい」という想いがあったからです。20年ぶりの再会は敵同士という悲しい形でしたが、道を踏み外した孫を止めることが、祖母としての最後の務めだと彼女は覚悟を決めます。

この師弟であり祖母と孫であるという関係性が、二人の戦いをNARUTO屈指の名勝負の一つたらしめているのです。

サソリに見せた祖母としての愛情

チヨバアがサソリに対して抱いていたのは、単なる祖母としての情だけでなく、彼の心の痛みを誰よりも理解するがゆえの深い愛情でした。彼女の行動の根源には、常にサソリへの想いがありました。

その愛情が最も顕著に表れているのが、禁術「己生転生」を開発した理由です。この術は、本来、両親を失ったサソリのために、彼が作った両親の傀儡に命を吹き込み、もう一度親子の時間を与えてやりたいという一心で編み出されたものでした。術が完成した時には、術者の命と引き換えという大きなリスクが判明し禁術に指定されますが、開発の動機そのものが、サソリへの愛情の深さを物語っています。

また、サソリとの最後の戦いでは、彼が最初に作った「父」と「母」の傀儡を用いて決着をつけました。これは、サソリの原点である両親への思慕と向き合わせ、人としての心を取り戻させたいという、祖母としての最後の願いだったのかもしれません。サソリが最後の攻撃をあえて避けなかったのは、両親の傀儡に抱きしめられることを望んだからではないかと、サクラは推察しています。

これらのことから、チヨバアは最後までサソリをただ一人の愛する孫として想い続けていたことが分かります。

我愛羅に命を託した己生転生

チヨバアの物語の最後を飾るのは、自らの命と引き換えに我愛羅を蘇らせた禁術「己生転生」の使用です。この決断は、彼女がナルトたちとの出会いを通して、未来への希望を見出したことの証でした。

当初、チヨバアは「里の未来などどうでもいい」と嘯き、他里との協力にも懐疑的でした。しかし、自分と同じ人柱力である我愛羅のために必死になるナルトの姿や、里の垣根を越えて仲間を救おうとするサクラたちの行動に心を動かされます。そして、過去の自分の行いが間違いばかりであったと悟り、未来を担う若者たちに全てを託すことを決意するのです。

前述の通り、己生転生は元々、孫のサソリのために開発した術でした。その術を、かつて自らの手で人柱力にしてしまった我愛羅に使うことで、過去の過ちを清算し、砂と木ノ葉の新しい未来を切り開こうとしたのです。ナルトがチャクラを分け与える中、チヨバアは安らかな顔で息を引き取りました。弟のエビゾウが「死んだフリー…って今にも笑い出しそうな…そんな…安らかな顔をしておるよ…」と呟いたように、彼女の最期は後悔のない、希望に満ちたものでした。

この自己犠牲の精神は、ナルトに三代目火影・ヒルゼンの姿を思い起こさせ、読者にも大きな感動を与えました。

まとめ：チヨバアの若い頃と後世への影響