袖から無数の蛇が躍り出る、あの不気味で美しい光景を覚えていますか?
『NARUTO』屈指の悪のカリスマ、大蛇丸。彼の代名詞とも言える忍術「潜影蛇手」は、多くのファンの脳裏に深く刻まれていることでしょう。
しかし、その真の強さや、数ある技一覧の中での正確な位置づけ、アニメの何話でどんなセリフと共に登場したのか、深く考えたことはありますか?
そして、この術にまつわる最大の謎は現代にあります。
なぜあの冷酷な秘術が、時を経てキッチンで叫ばれる”料理”の決めゼリフへと、誰も予想しなかった変貌を遂げたのでしょうか?
この記事では、戦闘における大蛇丸の潜影蛇手の戦術的価値から、現代カルチャーでの意外な流行の背景まで、その全ての謎を解き明かします。
読み終える頃には、あなたもきっとこの術の新たな魅力の虜になっているはずです。
- 潜影蛇手の基本的な能力と作中での強さがわかる
- アニメで潜影蛇手が登場する話数と名セリフがわかる
- 大蛇丸が使う蛇に関連した他の技一覧を把握できる
- 潜影蛇手が料理用語として使われるようになった背景がわかる
大蛇丸の潜影蛇手とは?基本を徹底解説

このセクションでは、潜影蛇手という術の根幹に迫ります。術の基本的な効果から、その真価を測る威力、アニメでの登場シーン、そして記憶に残るセリフや使用者まで、基礎知識を徹底的に掘り下げていきます。
- 潜影蛇手はどんな術?その効果とは
- 潜影蛇手の術としての強さや威力
- アニメでの潜影蛇手登場は何話?
- 印象的な潜影蛇手のセリフを紹介
- 使用者は大蛇丸だけではない?
潜影蛇手はどんな術?その効果とは
潜影蛇手とは、術者が自身の袖口から契約した蛇を口寄せし、意のままに操って敵を攻撃する、利便性に優れた忍術です。これは口寄せの術の一種であり、単に蛇を呼び出すだけでなく、術者のチャクラと意志が与えられた生命体として機能させます。
この術の最大の特徴は、戦闘における圧倒的な応用範囲の広さにあります。なぜなら、放出された蛇は単なる飛び道具ではなく、術者の手足の延長として極めて多彩な役割を担うことができるからです。主な用途を以下に示します。
多彩な攻撃と捕縛
最も基本的な用途は直接攻撃です。蛇を高速で射出して相手に噛みつかせます。蛇には毒を持つものもいる可能性が示唆されており、わずかな傷でも致命傷につながる危険性を秘めています。さらに、複数の蛇で相手の身体に巻き付き、締め上げることで動きを完全に封じ込める捕縛攻撃も可能です。
予測困難な奇襲
潜影蛇手の真価はその奇襲能力にあります。通常、術の発動には印を結ぶなどの予備動作が必要ですが、この術は袖口から瞬時に蛇を放つことができるため、相手に反応の隙を与えません。まさか衣服の中から生物兵器が飛び出してくるとは予測できないため、初見の相手には絶大な効果を発揮します。また、蛇は術者の意志で自在に軌道を変えることが可能です。直線的な攻撃を回避されても、まるで生きているかのように蛇行し、背後から襲いかかるなど、執拗な追尾攻撃を見せます。
移動や防御への応用
攻撃だけでなく、補助的な使い方も見られます。例えば、高い木や崖に蛇を巻きつけ、その体をロープ代わりにして高速で立体的な移動を行うことができます。これにより、追跡や逃走、あるいは有利なポジションの確保が容易になります。防御面では、とっさに蛇を放出して盾のように使い、クナイや手裏剣といった物理的な攻撃を防ぐといった応用も考えられます。
このように潜影蛇手は、術者の戦術眼と発想力次第で無限の可能性を引き出せる、非常に戦略的価値の高い術なのです。

攻撃だけやのうて移動にも使えるなんて、めっちゃ便利やん!こら色んな場面で活躍するわけやな~。
潜影蛇手の術としての強さや威力
潜影蛇手は、作中に登場する螺旋丸や千鳥のような一撃必殺の大技ではありません。しかし、その戦略的な価値と汎用性の高さから、非常に強力かつ厄介な術として位置づけられています。その強さの源泉は、純粋な破壊力ではなく、戦闘の流れを支配する能力にあります。
この術の強みは、まずその発動の手軽さにあります。前述の通り、大きなモーションを必要とせず、近接戦闘の最中でも不意に繰り出すことができます。この「いつ飛んでくるか分からない」というプレッシャーは、相手の集中力を削ぎ、防御に意識を割かせる効果があります。これにより、術者は戦闘の主導権を握りやすくなります。
また、大蛇丸自身の卓越した戦闘能力が、この術の脅威度を飛躍的に高めています。「伝説の三忍」とまで謳われた彼が使うことで、単なる牽制技が、相手の命を奪いかねない必殺の一撃へと昇華します。大蛇丸は戦闘序盤で相手の力量を冷静に分析するためにこの術を多用しますが、それは彼の術と自身の能力に対する絶対的な自信の表れと言えるでしょう。
一方で、この術には明確な限界も存在します。広範囲を殲滅するような術、例えばデイダラの爆遁や鬼鮫の水遁・大鮫弾の術などに対しては、数匹の蛇では対抗しきれないと考えられます。あくまで個を対象とした術であり、戦況全体を覆す力はありません。以下の表は、潜影蛇手の長所と短所をまとめたものです。
項目 | 詳細 |
長所 (メリット) | ・発動が早く、奇襲性に優れる ・攻撃、拘束、移動など用途が多彩 ・チャクラ消費が比較的少なく、連発が可能(と推測される) ・相手に心理的プレッシャーを与える効果が高い |
短所 (デメリット) | ・一撃の破壊力は他の大技に劣る ・広範囲を対象とした攻撃には不向き ・感知能力の高い相手には奇襲が通用しにくい可能性がある ・蛇を倒される、あるいは対処されると無力化される |
結局のところ、潜影蛇手の強さは「使い手次第」という言葉に集約されます。大蛇丸のような卓越した忍が使ってこそ、その真価が最大限に発揮される、玄人好みの術なのです。



ただ強いだけやないんやな。相手の意表を突く賢さがこの術のミソなんやろな~。奥が深いわぁ。
アニメでの潜影蛇手登場は何話?
アニメ『NARUTO』において、潜影蛇手が視聴者に強烈な印象を与えたのは、物語初期の第1部50話「私が…!!」です。このエピソードは、原作コミックスでは第6巻に収録されており、過酷な中忍試験第二の試験「死の森」での一幕を描いています。
興味深いことに、この記念すべきシーンで術を使ったのは、大蛇丸本人ではありませんでした。使用者
は、試験官を務める特別上忍であり、かつて大蛇丸の唯一の弟子であった「みたらしアンコ」です。彼女は、試験会場である森に不穏なチャクラを纏って潜入した大蛇丸の存在をいち早く察知し、過去の因縁に決着をつけるべく単独で彼を追跡します。
アンコは「今日ここでケジメをつける」と強い覚悟を胸に、大蛇丸と対峙します。そして、背後に現れた大蛇丸の姿(この時点ではまだ影分身)を捉えると、彼女は自らの左手をクナイで大蛇丸の手に突き刺して動きを封じ、「逃さない… ”潜影蛇手”!!」のセリフと共に、右手の袖口から数匹の蛇を放ちました。この一連のシーンは、アンコもまた大蛇丸と同じ蛇の術を操る忍であること、そして二人の間にあったであろう壮絶な師弟関係を雄弁に物語る、非常に重要な場面となりました。
もちろん、大蛇丸自身も作中で幾度となくこの術を使用しています。特に第二部でヤマト班と天地橋で対峙した際、暴走したナルトの九尾のチャクラをいなしながら牽制として使うなど、彼の余裕と格の違いを見せつける形で描かれました。しかし、初登場時のインパクトという点では、この第50話のアンコのシーンが最も記憶に残っているファンが多いでしょう。
印象的な潜影蛇手のセリフを紹介
潜影蛇手という術の魅力は、その独特のビジュアルや性能だけに留まりません。術と共に発せられるセリフや、そこから派生した言葉たちが、キャラクターの心情や文化的な広がりを物語っています。
原作・アニメにおける覚悟のセリフ
前述の通り、作中で術名を叫びながら潜影蛇手を使用した最も印象的な人物は、みたらしアンコです。彼女が師である大蛇丸と対峙した際に放った「逃さない… ”潜影蛇手”!!」というセリフは、単なる技の宣言以上の意味を持っています。ここには、かつて師事し、しかし裏切られた相手に対する憎しみ、恐怖、そしてそれを乗り越えようとする彼女自身の悲痛な覚悟が込められていました。このセリフがあるからこそ、潜影蛇手はただの術ではなく、キャラクターのドラマを背負った技として視聴者の記憶に刻まれたのです。
対照的に、大蛇丸本人は戦闘中に術名を口にすることはほとんどありません。彼は静かに、そして冷酷に術を繰り出します。これは、相手に情報を与えないという戦闘における合理主義の表れであると同時に、「術とは語るものではなく、ただ遂行するもの」という彼の不気味な美学を体現していると言えるでしょう。
現代に生まれたユーモラスな決めゼリフ
一方で、原作の世界を離れた現代のインターネットカルチャーでは、全く新しい決めゼリフが誕生し、広く浸透しました。それが、後述するYouTuberの影響で爆発的に広まった「はい、潜影蛇手」というフレーズです。
このセリフは、何か物を容器に入れたり、誰かに手渡したりする際の掛け声として、非常に高い汎用性を持って使われます。語感の良さと、大蛇丸というキャラクターが持つカリスマ性が相まって、本来の術が持つ邪悪なイメージは払拭され、日常の何気ない動作を面白おかしく演出するための魔法の言葉として生まれ変わりました。この言葉の広がりは、作品がファンに愛され、新たな形で消費され続けている証拠でもあります。
使用者は大蛇丸だけではない?
潜影蛇手は、多くの人が大蛇丸の専用術だと認識していますが、実際には彼以外にもこの術を使いこなすキャラクターが存在します。術の継承という観点から見ると、使用者たちの関係性は『NARUTO』の物語におけるテーマの一つである「世代間の繋がり」を象徴しています。
直弟子への継承:みたらしアンコ
最も代表的なもう一人の使用者は、木の葉隠れの里の特別上忍「みたらしアンコ」です。彼女は大蛇丸が里を抜ける以前に師事していた弟子であり、大蛇丸から直接、潜影蛇手を含む数々の術を叩き込まれました。アンコは幼い頃に大蛇丸に見出され、その才能を高く評価されていましたが、大蛇丸の禁術研究が進むにつれて、彼女は実験体の一人として扱われ、最終的には「使い捨てにされた」と大蛇丸自身が語っています。中忍試験編で彼女がかつての師に対してこの術を使ったのは、大蛇丸から受けた影響を乗り越え、彼と決別しようとする強い意志の表れでした。
血と技術の継承:ミツキ
続編である『BORUTO-ボルト- NARUTO NEXT GENERATIONS』では、大蛇丸の息子(厳密にはクローン技術によって生み出された人造人間)である「ミツキ」が、この術を受け継いでいます。ミツキは大蛇丸の遺伝子情報と科学技術の粋を集めて作られた存在であり、その戦闘能力は親である大蛇丸譲りです。彼は「軟の改造」によって腕を蛇のように伸縮させ、そこから蛇を放つなど、潜影蛇手をさらに発展させた独自のスタイルを確立しています。ミツキの存在は、大蛇丸の術と知識が、師弟関係という繋がりだけでなく、科学と血という新たな形で次世代へと継承されていく可能性を示唆しており、物語に新しい深みを与えています。
このように、潜影蛇手は大蛇丸という一人の天才忍から、弟子、そして息子へと形を変えながら受け継がれており、その術の系譜は物語の重要な要素の一つとなっているのです。
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大蛇丸の潜影蛇手の魅力と意外な広がり


潜影蛇手の面白さは、作中での活躍だけに留まりません。より強力な派生技の存在や、大蛇丸が操る他の多彩な術との関連性、そして何よりも、現代のインターネットカルチャーにおける予想外の形で広がりを見せている点に、この術の尽きない魅力があります。
- 派生技「潜影多蛇手」との違い
- 大蛇丸の蛇に関連する技一覧
- 潜影蛇手は今や料理の決めゼリフ?
- YouTuberによる意外なリバイバル
- 大蛇丸というキャラクターの変遷
- まとめ:大蛇丸の潜影蛇手の魅力
派生技「潜影多蛇手」との違い
潜影蛇手には、「潜影多蛇手(せんえいたじゃしゅ)」という、その能力を大幅に強化した上位互換の術が存在します。この二つの術は似て非なるものであり、その違いを理解することは、大蛇丸の戦術の奥深さを知る上で非常に重要です。
最も明白な違いは、一度に口寄せする蛇の数と、それに伴う攻撃規模です。潜影蛇手が数匹の蛇を精密に操り、奇襲や牽制といった局所的な戦闘で効果を発揮するのに対し、潜影多蛇手はその名の通り、おびただしい数の蛇を瞬時に出現させ、広範囲を制圧することを目的としています。その光景は、もはや一体一体の蛇の動きを追うことは不可能な、まさに「蛇の津波」と呼ぶにふさわしいものです。
この規模の違いは、術の用途にも決定的な差をもたらします。例えば、伝説の三忍が激突した三竦みの戦いにおいて、大蛇丸は自来也と綱手を同時に相手にする中でこの潜影多蛇手を使用しました。無数の蛇が地面を埋め尽くし、二人の足場を奪いながら襲いかかる様は、一対多の状況を覆すほどの圧倒的な制圧力を見せつけました。
もちろん、これだけ大規模な術を発動するには相応のチャクラを消費すると考えられ、潜影蛇手のように気軽には使えません。大蛇丸は状況に応じてこれら二つの術を的確に使い分けており、彼の冷静な戦術眼がうかがえます。
特徴 | 潜影蛇手 (Sen’ei Jashu) | 潜影多蛇手 (Sen’ei Tajashu) |
蛇の数 | 数匹 | 数十~数百匹(無数) |
攻撃規模 | 点・線(単体・少数対象) | 面(広範囲・複数対象) |
主な用途 | 奇襲、牽制、拘束、補助 | 制圧、殲滅、足止め |
チャクラ消費 | 比較的少ない(と推測) | 多い(と推測) |
戦略的位置づけ | 汎用性の高い通常技 | 状況を打開するための大技 |
このように、潜影多蛇手は潜影蛇手の延長線上にありながらも、その戦略的な意味合いは全く異なります。大蛇丸がどちらの術を選択するかで、その戦いにおける彼の本気度を測ることができるでしょう。



蛇が津波みたいに襲ってくるって、想像しただけで鳥肌立つわ!ホンマにえげつない術やで。でもカッコええなぁ!
大蛇丸の蛇に関連する技一覧
大蛇丸の戦闘スタイルは、その生き様そのものと同様に「蛇」というテーマに貫かれています。潜影蛇手は彼の多彩な術の入り口に過ぎず、その奥にはさらに強力で奇怪な蛇関連の術が数多く存在します。彼の術は、単なる攻撃手段ではなく、彼の思想である「不老不死」や「真理の探求」と深く結びついています。
ここでは、大蛇丸が使用する代表的な蛇関連の術を、その特徴と共に紹介します。
術の名前 | 読み方 | 術の概要と作中での役割 |
蛇睨呪縛 | じゃげいじゅばく | 袖から巨大な蛇を二匹召喚し、相手を威圧・束縛する術。 中忍試験でサスケやサクラを恐怖で動けなくさせたように、 相手の戦意を削ぐ心理的な効果も大きい。 |
---|---|---|
双蛇相殺の術 | そうじゃそうさいのじゅつ | 術者と対象者が互いの腕を蛇に変え、相打ち覚悟で噛みつかせる禁術。 アンコが師である大蛇丸と共に死ぬ覚悟で発動しようとした、因縁深い術でもある。 |
万蛇羅ノ陣 | まんだらのじん | 口から無数の蛇を吐き出し、巨大な壁のようにして敵の攻撃を防ぐ防御技。 ナルトの尾獣玉を防ぐなど、極めて高い防御性能を誇る。 |
八岐の術 | やまたのじゅつ | 日本神話の八岐大蛇をモチーフにした、八つの頭を持つ巨大な白蛇を出現させる大蛇丸最大級の術。 サスケとの死闘の末、追い詰められた大蛇丸が転生の儀式と共に発動したが、 イタチの須佐能乎によって封印された。 |
口寄せ・マンダ | くちよせ・まんだ | 龍地洞に住む口寄せ動物の中でも最強最悪と恐れられる巨大な蛇「マンダ」を召喚する。 気性が荒く、召喚の際には生贄を要求するほどだが、その戦闘力は尾獣に匹敵するとも言われる。 |
軟の改造 | なんのかいぞう | 自身の肉体を改造し、蛇のように関節を無視して自在に伸縮させる体術。 これにより、常人では不可能な回避や奇襲攻撃を可能にする、大蛇丸の不気味さを象徴する術。 |
これらの術は、大蛇丸が「全ての術を解き明かす」という目的のために、倫理を度外視して研究を重ねた成果です。一つ一つの術が、彼の異常なまでの探求心と、忍としての卓越した才能を物語っています。



こないに蛇の術ばっかり考えるなんて、どんだけ蛇が好きやねん!その探究心が大蛇丸の強さの秘密なんかもしれへんな。
潜影蛇手は今や料理の決めゼリフ?
『NARUTO』の物語が完結し、登場人物たちが伝説となった現代、かつて読者を震撼させた忍術「潜影蛇手」が、全く新しい文脈で脚光を浴びています。驚くべきことに、現在インターネット上、特に料理好きのコミュニティにおいて、この言葉は一種の「決めゼリフ」として定着しつつあるのです。
この奇妙な現象の火付け役となったのは、主にYouTubeで活動する料理系の動画クリエイターたちです。彼らが動画の中で、特定の調理工程の際に大蛇丸の声色を真似て「潜影蛇手!」と宣言することが、瞬く間に視聴者の間で大きな話題となりました。
具体的にどのような場面で使われるかと言うと、例えば以下のようなアクションが挙げられます。
- ボウルの中に卵を割り入れる
- 熱したフライパンにひき肉を投入する
- 鍋の中にカットした野菜を投げ入れる
- 完成したグラタンをオーブンに入れる
- 調味料を振りかける
これらの「何かを器や鍋に放つ・投入する」という動作が、大蛇丸が袖から蛇を放つイメージと絶妙に重なったのです。術本来の持つ邪悪でクールな雰囲気と、ハンバーグやカレー、パスタといった家庭的な料理を作る光景との間に生まれるシュールなギャップが、多くの人々の笑いのツボを刺激しました。
この現象が興味深いのは、なぜ他の術ではなく「潜影蛇手」だったのかという点です。「潜影(せんえい)」という静かに潜むイメージと、「蛇手(じゃしゅ)」という手を伸ばして何かを繰り出す動作が、料理における「材料を投入する」という行為と非常に結びつきやすかったと考えられます。この語感の良さと動作との親和性が、潜影蛇手を単なる忍術から、日常を彩るユニークなミームへと昇華させたのです。
YouTuberによる意外なリバイバル
前述の通り、潜影蛇手を料理界のスターダムに押し上げた最大の功労者は、YouTuberの「とっくん26歳」さんです。彼が投稿した「自分を大蛇丸と信じて止まない一般男性」という動画シリーズが、このユニークなリバイバル現象の震源地となりました。
この動画シリーズの魅力は、単なる声真似やパロディに留まらない、非常に高いクオリティにあります。まず、大蛇丸特有のねっとりとした、それでいてどこか品のある口調の再現度が見事です。それに加えて、映像は本格的な料理動画として成立しており、手際の良い調理風景や、完成した料理の美味しそうなビジュアルが視聴者の食欲をそそります。この「キャラクターコンテンツとしての面白さ」と「料理動画としての実用性」の二つを両立させた点が、幅広い層から支持を集めた大きな理由でしょう。
そして、このムーブメントは二次創作の枠を飛び越える奇跡的な展開を見せます。シリーズが人気を博す中、なんと大蛇丸役の担当声優である、くじらさんご本人がこの動画の存在を知り、自身の公式X(旧Twitter)アカウントからとっくん26歳さんへ「あら…美味しそうじゃない…」といった趣旨のリプライを送ったのです。
この「本家からの降臨」は、ファンの間で瞬く間に拡散され、「公式が認めた」「大蛇丸様公認の潜影蛇手」と大きな話題になりました。作り手である公式と、作品を愛するファン、そして新たなクリエイターが、インターネットを通じてポジティブな形で繋がり、作品の世界をさらに豊かにしていくという、現代ならではの素晴らしい事例と言えます。この一件により、潜影蛇手の新たなイメージは決定的なものとなったのです。



まさか声優さん本人にまで届くなんて、すごすぎるやろ!愛のあるイジりって感じで、めっちゃええ話やんか。
大蛇丸というキャラクターの変遷


潜影蛇手という言葉が、かつての恐怖のイメージから、ユーモアさえ感じさせる現在のイメージへと変化した背景には、使い手である大蛇丸自身のキャラクター像が、長い物語の過程で劇的に変遷したことが大きく影響しています。彼の変化を理解することは、作品全体のテーマを読み解く鍵ともなります。
第一部:絶対的な悪のカリスマ
物語初期の大蛇丸は、読者や視聴者にとって純粋な恐怖の対象でした。自らの欲望のためなら人体実験も厭わず、多くの命を奪い、師である三代目火影・猿飛ヒルゼンをも手にかけました。彼の目的は「この世の全ての術を我が物とし、真理を極めること」。そのために不老不死を求め、他者の肉体を奪い続けるという彼の生き様は、まさに絶対的な悪のカリスマとして描かれていました。この時期の大蛇丸が使う潜影蛇手は、彼の底知れない邪悪さと不気味さを象徴する術でした。
第二部・第四次忍界大戦:変化の兆し
物語が終盤に差し掛かると、彼の立ち位置に少しずつ変化が訪れます。一度はうちはサスケに討たれるものの、彼の執着心は消えず、さまざまな形で復活を遂げます。その過程で、自分を模倣した弟子である薬師カブトが暴走し、失敗する様を目の当たりにします。この出来事は、彼に自身の生き方を見つめ直させるきっかけとなったのかもしれません。第四次忍界大戦では、サスケの問いに答える形で歴代火影を穢土転生で蘇らせ、結果的に忍連合軍に多大な貢献をしました。この頃になると、かつての残忍さは薄れ、「いつ吹くか分からない他の風を待つ楽しさも知れた」と語るなど、達観したような一面を見せるようになります。
『BORUTO』時代:保護者として
そして続編の『BORUTO』では、その変化は決定的となります。彼は自身のクローン技術で息子のミツキを生み出し、一人の人間として成長していく様を見守る「保護者」としての役割を担います。忍者学校の三者面談に真面目な顔で出席する姿は、かつての彼を知る者からすれば信じられない光景でしょう。もちろん、ミツキを愛情深い目で見守りつつも、同時に貴重な研究対象として冷静に観察している節もあり、彼本来の探求心が消えたわけではありません。
このように、絶対的な悪から、複雑な内面を持つトリックスター、そして次世代を見守る保護者へと、大蛇丸は作中で最も大きな変化を遂げたキャラクターの一人です。この人間味あふれる多面性が生まれたからこそ、彼の術である潜影蛇手もまた、多様な解釈でファンに愛されるようになったのです。



あんなに怖かった大蛇丸が、最後は保護者みたいになるなんてなぁ…。色んな経験して丸うなったんやろか。なんかジーンとくるやん。
まとめ:大蛇丸の潜影蛇手の魅力
この記事で解説してきた「潜影蛇手」の多岐にわたる魅力と情報を、最後に箇条書きでまとめます。
- 潜影蛇手は大蛇丸を象徴する基本忍術の一つ
- 自身の袖口から契約した蛇を口寄せして操る
- 攻撃、捕縛、追尾、牽制など非常に応用範囲が広い
- 印を結ぶ動作が少なく、奇襲性に優れている点が最大の強み
- 木などに巻きつけ、ロープのようにして立体的な移動も可能
- 術の威力は使い手の技量に大きく依存する玄人向けの術
- アニメ『NARUTO』では第1部50話で初登場したのが印象的
- 初使用者は大蛇丸ではなく弟子の「みたらしアンコ」
- アンコが師への覚悟を示すドラマチックな場面で使われた
- 続編『BORUTO』では息子のミツキが術を継承し発展させている
- より強力な上位互換の術として「潜影多蛇手」が存在する
- 潜影多蛇手は無数の蛇で広範囲を制圧する大技
- 近年、YouTuberの影響で「料理用語」として異例のリバイバルを遂げた
- 料理動画で材料を投入する際の決めゼリフとしてネットミーム化
- この現象は声優・くじらさん本人にも認知され「公認」と話題になった
- 使い手である大蛇丸自身も、物語を通じてキャラクター性が大きく変化した
- 初期の冷酷非道な悪役から、最終的には次世代を見守る保護者となった
- このキャラクターの変遷が、術のイメージが多様化した背景にもある